伊太祁曽神社(いたきそ じんじゃ)
岐阜県高山市丹生川町旗鉾鎮座
御祭神
五十猛命(いたけるのみこと)
五十猛命を祀る神社は日本全国に300社ほどあると言われていますが、その多くは「伊太祁曽神社」という名前ではありません。
ところが、岐阜県高山市丹生川町(旧大野郡丹生川村)には「伊太祁曽神社」が群集しています。
国道158号線沿いに、この附近で目にする神社の多くが「伊太祁曽神社」ですし、違う名前の神社であっても、御祭神を五十猛命とする神社が多く鎮まります。
高山駅から出発して一番奥(一番東側)に鎮まる伊太祁曽神社が、今回紹介する旗鉾の伊太祁曽神社です。
地図では国道158号線に沿って鎮まるように見えますが、実際には道から少し下に降ったところにあり、国道からは見えません。
しかも国道沿いに鳥居などもないため、知らないと通り過ぎてしまいそうです。目印は、旗鉾・伊太祁曽神社で行われる「くだがい神事」の看板。
この看板のあるところから、道を下ると神社があります。
この「くだがい神事」は1月14日に行われるもので、大釜で炊く粥の中に麻がらを入れ、その麻の管に入った粥の量で、農作物の豊凶を占うものです。
無形文化財に指定されている模様。
ちなみに同日夜に、これとほぼ同じ神事が紀州の伊太祁曽神社でも行われます。
「くだがい神事」の看板の横に石碑(上段左写真)がありますが、そこには「天照皇大神宮」と記されています。伊太祁曽神社とは書かれていないのも、知らないと通り過ぎてしまう一因だと思います。
坂を降りて見えてくる鳥居(下段左写真)の扁額にも「天照皇大神宮」と記されており「伊太祁曽神社」とは思いません(汗
社殿にも「太神宮」と記されています(上段中央写真)が、間違いなく「伊太祁曽神社」です。
どうやら地元の伝承で、この地に天照大神が降臨したという話が文化8年(1811)に広がり、そこから祭神が天照大神になったのではないかとのこと。
また、もともと「日抱尊(ひだきそ)」と呼ばれていたことも関係するかも知れません。
ちなみに「日抱尊」は「伊太祁曽」が訛ったものとも考えられますね。
平成17年 5月参拝・撮影